亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


椅子を蹴り倒し、扉付近に立っていた兵士をやや乱暴に追いやって退室していった。


カタカタカタ…と倒れた椅子が揺れる物音が、室内にやけに響いた。



「…………お見苦しい所を…」

壁に突き刺さった短剣を抜き、アレクセイは小さく言った。

「…………………別に邪見には思わん。……ああやって…壁を壊していくものだ」




























―――辺りは音も無く。

ただ闇だけがグラリグラリとうずめき、揺らめいていた。



真っ暗な回廊。




その中央を、ゆっくりとはためく蝶の様に、ゆらゆらと揺れ進む純白の淡い光。


その身を覆う白き衣はぼろ衣同然。
………なんとも耳障りな………頭に直接響いて来る様な不可解な呻き声を漏らしている。

………長い眠りから覚めたかの様にうつらうつらとしていて、何処に行く宛も無く、成すべき事を見失っている様に見えた。

その姿は言い様の無い程…………哀れ。












「―――何だあれは………!」

「―――幻か?………実体の無い化け物だ………いくら斬っても…空気みたいに擦り抜けちまう……!」

「………何処から出てきやがった……!?」

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