亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
『……………ほん……に…憎き…………』
『……………何処………いず……こ………に』
『…………何処…に………おられ………るか』
―――………王よ。
「―――侵入者をこちらに近付けるな!」
「―――…このっ…どうしようもねぇ…!」
「―――……おい……奥へ向かっているぞ!?」
「…………あっちは……!?」
扉一枚隔てた向こう側から、困惑と焦燥にかられる兵士達の声が飛び交う。
何かがこちらに迫っている。
そんな状況を、クライブは心から……笑みを浮かべて楽しんでいた。
………ゆっくりと椅子から腰を上げ、クライブは背後の扉に振り返った。
真っ暗な天井、足元をぼんやりと見つめながら……椅子に立て掛けていた長い剣を取り上げた。
スラリ………と鞘から伸びた刀身は、青白い、妖しい光沢を放つ。
錆も刃こぼれも無い、鏡の様な滑らかなそれは、床に小さな赤い火花を散らす。
………すぐ近くで、幾多もの悲鳴が木霊した。
……………ふつふつと、小さな興奮に似た衝動が、身体の奥底から泡の様に浮かび上がってくる。