亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
壁を擦り抜けて来た様だった。
半透明な純白の身体は、床から数十センチの所で浮かんでいる。
………ボロボロの法衣を纏った、怪しげな老人の姿。
白い蛍火がその周りを飛び交う。
突如塔内に現れ、クライブの元へ真直ぐやって来た白い老人は、扉の前で黙って佇んでいた。
「―――……………随分とみすぼらしい姿に…………成り果てたものだな……………………六年振りだな……………………………………………元老院………いや……………主無き………守人よ」
クライブの正前にいる純白の老人は、紛れも無く、あのクーデターの晩に見た、三人の元老院……城を守る、守人の一人。……………いや……………今ここにいるのは、きっと三人の姿が融合しあった姿なのだろう。
静かに佇むそのシルエットは、ぼんやりとブレて見えた。
「…………………守人よ…………城の封印において、媒体となり…………………かなり力を削った様だな……………………………見た目通りの老いぼれとなったか………………」
かつて、神々しいまでに光り輝いていた真っ白なその身からは、今は弱々しい、蝋燭の様な光量が漏れ出ているだけだ。
………ほとんど力を使い果たし、弱っている。