亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
『―――………何処に………いず……こ』

『―――………憎し…………憎き………王に背き者………』

『―――………若輩めが…………………よくもまぁ…浮世に生き長らえているものよ………』


しわがれた異なる声帯が、ビリビリと空気を揺るがす。


「…………………貴様が探しているのは…………私ではなかろうに。…守人ともあろう者が……………憎悪に身を任せたせいで………私の前に現れたか………愚かな…」


クライブは肩を震わせて小さく笑った。

………守人は呻きに似たくぐもった声を漏らした。
漂う白い光りが、守人の憤怒や憎悪を表す様に赤黒い不気味な色を帯びていく。

空気が波打つ。

強烈な威圧感が、突風の様にクライブに衝突する。



………何百……何千年も城と王族を守ってきただけある。
目覚めたばかりで弱っていても、その力は強大だ。


ビッ…ビッ…と、小さなかまいたちが飛び交い、クライブの青白い頬に切り傷を付けた。

「…………守人も…感情なるものを持つと………………厄介なものだな……………止めておけ…………」


ゆらり……とクライブに近付こうとした守人。




…………しかし、その距離が縮まることはなかった。


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