亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「尋問とかじゃなく、普通に面と向かって話してみたいね」

「………左様で………。私もそう思いますが………それにはもっと……あの方を知るべきですな」

「………お前にしては随分と、あのお嬢さんをお高く見てるじゃねぇか。………何でだ?やっぱり爺さんも若い娘には弱いのか?」

からかう様に笑いながら言うオーウェンだが、当のアレクセイは実に穏やかな、しかし真剣な表情を浮かべた。

「………お高く……………まぁ………もしかしたら……本当にお高いのかもしれません」

意味深な発言に、オーウェンは首を傾げた。

「…………?………それってどういう…」








―――その途端、耳をつんざく様なけたたましい音が鳴り響いた。

………法螺貝の音だ。
警戒、を表している。



アレクセイは素早く立ち上がる。オーウェンは面倒臭そうに眉をひそめた。

「………何だよ………影の群れか?」

「………いえ……。……やけに静かです…………正面…城門前辺りの様です」

もし影ならば、兵士達は迅速に戦闘配置する筈だ。
その号令も掛け声も聞こえないのはおかしい。

























―――リストは、その『物体』を凝視していた。

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