亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
その低い音色は、勿論地下深くにも届いていた。


「―――何だ……?」

トウェインは顔をしかめた。
格子の外側にいるルアも、丘全体に響き渡る音色に耳を澄ませていた。

………法螺貝の音だ。

………何だろうか。…………………外からやけに………ゾクゾクとする寒気に似た息苦しい空気を感じる。


………濃い闇の臭いがする。

「………これは警戒を意味する音だな………一体何が………………っ……!?」







突然、凄まじい頭痛が襲って来た。
…額が割れる。

頭を抱えて蹲るトウェインに、心配したルアが格子に頭を突っ込んで寄り添って来た。




何だ…?


急に………何かが………。


(………頭に…入って……………)

















『―――………目を……目を閉じなされ』

『―――何も…恐れる事は…ありませぬ』

『―――………我は…我らは………貴女様の糧と……なりましょう』




『―――………さあ…目を閉じなされ…………………………再び相まみえる時………………我に……我らに……………名乗られませ…………………我らは貴女様を………御探し………致します』










―――それまで、御待ち下され。
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