亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……得体が知れねぇな………リストが言っていたのはこの事か…………凄ぇ魔力だな………しかも負の魔力だ」

「………負の魔力ならば浄化が必要だな。ここはルアの十八番だろう。………ルアは何処だ?」

「ルアならずっと地下牢におります」

遅れて駆け付けて来たアレクセイが答えた。
ああ……またか、とキーツは顔をしかめる。

「………悪いがアレクセイ……至急、ルアを呼んできてくれ」

負の魔力に対抗するならば、逆の属性を持つ聖獣の魔力が一番効果覿面なのだ。

少しは有利になるやもしれない。

「―――畏まりました」

アレクセイは腰の剣を支え、急いで塔の中に走った。

兵士達を押し退けながら、真直ぐ地下への階段へ向かった。


















―――ガンッ。


―――ガンッ。


―――ガゴンッ。







何も無い空間だけが広がる地下牢内に、その乾いた音は不規則なリズムを刻む。







「―――このっ…!………ちぃっ………!!」


叩いても、蹴っても……何をやってもびくともしない目の前の格子に苛立つトウェイン。
ルアは、その格子から少し離れた所でじっとトウェインの行為をそわそわと見ていた。

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