亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

…トウェインの必死な形相と意味深な言葉は何を意味するのか。


(………殺めてはならない…?。……城壁の外で何が起こっているのか……分かっているのか?)



………彼女は何をする気なのか。






―――……ドオォォォ……ン……。









………丘全体に地響きが鳴り響く。

この塔の地下まで、小刻みな揺れが深い地盤を染み透ってきた。


パラパラ……と壁から塵や埃が舞い散る。

………何かあったのかもしれない。前線で戦闘に立つリストの身が心配だ。
アレクセイはルアを促し、地下牢の扉に向かった。

今は……彼女の話に耳を傾けている場合ではない。

「………急がねば……申し訳ありませんが、やはり貴女様を出すわけには…」


そう言ってアレクセイはトウェインに背を向けた。


―――その直後














「―――アレクセイ!!」


















凛とした、威厳に満ちたその声に、アレクセイは思わず立ち止まった。


………振り替えると、澄んだ青い瞳に………………身体が震えてしまいそうな程、切れのある鋭い眼光に射ぬかれた。


………牢屋の中で佇む彼女。細い華奢な姿であるのに……この時、アレクセイの目に映っていたのは………ただの少女ではなかった。
< 780 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop