亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――私を、ここから出せ。………………………………………………アレクセイ……」
その声一つ一つが、ビリビリと身体全体に響いてくる。
そう……これは…………これは………。
………王座を前にした時と………そこに腰掛けられている方と御会いしている時と…………………同じ………。
「――――私の言う事が、聞けないのか。…………アレクセイ……!!」
「……悪足掻きを!!」
リストはその黒い身体からズブリと、刺した腕を抜いた。
先程から何度も深く深く抉っていた。
一時は油断して足をとられ、身体の中に引き摺り込まれそうになったが………パックリと開いたその穴に、魔術を吹き込んでやった。
体内に流し、内から爆発させる魔術。
それにより化け物は、ボンッ…と大きく弾け飛んだ。
多くは辺りに飛び散った。
そのため、化け物は一回り小さくなった様な気がする。
動きも最初より鈍い。かなり効いたのか、だいぶ弱っている様だ。
「………気味の悪い……」
フェーラの姿から普通の人間の姿へ戻り、リストは警戒しながら近寄った。