亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………あんなにてこずった化け物を………しかも先程より力が増大したというのに…………たったの三振りで?
「総団長、援護は…」
「要らん。下がってろ」
リストは黙って兵士達と共に後退した。
歩み寄るキーツに、化け物の身体から再び、何本もの触手が伸びた。
先の鋭いそれはキーツ目掛けて交差しながら突き進んで来た。
………が、キーツはそれを本の少しの動作で軽々と避けていく。
……まるで触手の方からキーツを避けているかの様だ。
ビュッと目の前に伸びてきた触手に、極自然な動作で首を捻って避けた。
呼応してなびく髪が、後ろに過ぎて行く触手を撫でる。
キーツは構わず歩き続け、とうとう目の前にまで迫った。
頭上から、足元からの触手の突きを全て避け続けながら、剣の柄を握る手に力を込めた。
「……………動きが遅い。…………………………………一回目だ……」
………キーツは軽く、剣を横凪ぎに払った。剣先は化け物にめり込むどころかかすりもしていない。
ただ、空を斬った。
――――ビッ
何かを引っ掻いた様な小さな音。
その直後…………爆風とも言える様な凄まじい風と衝撃が大地を走った。
「総団長、援護は…」
「要らん。下がってろ」
リストは黙って兵士達と共に後退した。
歩み寄るキーツに、化け物の身体から再び、何本もの触手が伸びた。
先の鋭いそれはキーツ目掛けて交差しながら突き進んで来た。
………が、キーツはそれを本の少しの動作で軽々と避けていく。
……まるで触手の方からキーツを避けているかの様だ。
ビュッと目の前に伸びてきた触手に、極自然な動作で首を捻って避けた。
呼応してなびく髪が、後ろに過ぎて行く触手を撫でる。
キーツは構わず歩き続け、とうとう目の前にまで迫った。
頭上から、足元からの触手の突きを全て避け続けながら、剣の柄を握る手に力を込めた。
「……………動きが遅い。…………………………………一回目だ……」
………キーツは軽く、剣を横凪ぎに払った。剣先は化け物にめり込むどころかかすりもしていない。
ただ、空を斬った。
――――ビッ
何かを引っ掻いた様な小さな音。
その直後…………爆風とも言える様な凄まじい風と衝撃が大地を走った。