亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「アレクセイ…!!貴様……あの女を牢から出したのか!!鎖まで外して……………正気か!!どういうつもりだ!!」
トウェインを引き戻しに行こうとするリストを、アレクセイは腕を掴んで制した。
「何をする!?………貴様…!!」
「止めてはなりません!………あの怪物は…………違うのです!……操られているだけなのです!………あの方に……お会いするために来たのです……!」
会いに?
…………あの方??
……訳が分からない。
「………それはどういう意味だ…?………アレク…」
―――ズルッ……
粘着質な音が背後から聞こえた。
ハッと振り返ると………あの微動だにしなかった化け物が、なんと身体を起こし始めているではないか。
側で佇むトウェインを見下ろす様に、化け物はゆっくりと頭を下げる。
………まだ動ける程力が……。
剣を構えようとしたキーツの腕を、アレクセイは掴んだ。
「………なりません。あの方にお任せして下さい………敵では…ないのです!」
何故か必死で止めてくるアレクセイが、キーツは分からなかった。
どういう事だ。
アレクセイ。
お前は………何を知っている。
アレクセイの腕を振り払い、キーツはキッと険しい表情で睨んだ。
「………何を知っている……お前は………何が言いたいんだ!アレクセイ!!」
『………………………………王…よ』
しわがれた低い声が響き渡る。