亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
オーウェンは苦笑いを浮かべ、盛大に溜め息を吐いた。

「………いい加減慣れなさいキー坊。一体何回、俺らの前をお嬢ちゃんが通ったり、おはよう~って挨拶交わしたり、世間話したり、下ネタ言ってからかったりしてるんだ!順応しろよ~!」

「…………お前…下ネタとか言っていたのか…」

「………最低だな」

キーツとリストは呆れ顔を向ける。


「俺流の親近感アップ方法よ。………とにかく、お前、嬢ちゃんを避け過ぎだ。一回位面と向かって話したらどうなんだ?」

ビシィッと指差され、ちょっとビビるキーツ君。


………確かに。
キーツはこの頃極端に彼女を避けていた。

気配を察知するや否や、神隠しにあった様に何処かにふっと消える。どうしても鉢合わせになる時は、あからさまに目を背けている。………当のローアンは関心が無いらしく、それに対して何も言わないのだが。

「………いや………………あの………………………………ど、どう接すれば………」





――――…バーン。


大きく扉が開いた。






「こちらの緑は如何でしょうか?この季節には暖かいですし。もしくはこの紺の方も。無駄にヒラヒラはありませんよ!ボタンが無駄に多いのが難点ですが!」

「………しつこい!!」




渦中の人物が、両手にドレスの老紳士に追われて現れた。
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