亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
……勇ましい。
周りは素直にそう思った。
当のキーツは……かなり可哀相だ。
代われるものなら代わってやりたいが、はっきり言って代わりたくない。
………散々怒鳴りつけ、眉をひそめながら深い溜め息を吐くローアン。
腕を組み、顔を背けて………ボソリと呟いた。
「……………呆れる。………………………………ローアンは貴様の何処を気に入ったんだか……」
―――ぶちっ。
「…………今何か切れた様な音が………」
「………したな…」
常任より感覚が敏感なリストは………怪訝な表情を浮かべてキーツを見た。
………今の音は……………………総団長……から……。
「―――………………………………き……………」
………俯いたまま、キーツは何やら呟いた。
―――そして突然、ローアンに向かって顔を上げた。
「―――………き…君に言われる筋合いは無い!!第一君自身だろうが!!俺にそんなこと言ったって仕方無いだろ!!俺の方が知りたいね!!一体こんな気弱で消極的で優柔不断な俺の何処のどの辺りが気に入ってくれたのか訊きたいくらいだが、どうやらもう無理の様だな!ああ残念だ!!残念だ!!」
………キーツがキレた。