亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「ああそうか!聞きたかったか!しかし聞けなくて良かったな!!今の私から聞けば、当分は部屋から出て来られない位、今よりも鬱になる様な事を連発していたに違いないからな!!いや、言わなくとも最初から分かっている様だな?哀れな奴だ!!ローアンもさぞや同情していただろうよ!」
「ああそうだろうな!!不満だらけだったろうな!!行く末が不安だとか統治は出来るのかとかなんか抜けてそうだなとか………子供時代に聞き飽きた!!柱の後ろで聞き飽きたよ!!本気で心配されていたさ!!」
「はん!ご愁傷様だ!!不満だらけで可哀相に!!これからも増えていくだろうな!!」
「不満不満言うな!!不満があれば言えばいい!!直そうとする意欲位はあるさ!無駄に意地を張る様な夫にはなりたくないからな!!父やアレクセイに仕込まれたよ!!」
「貴様なんか何を改善しても尻に敷かれるに決まってる!!自分だけ気にかけても相手はついて来ない!!常識だろそんなこと!!食い物の好き嫌いが分かっていないだけでも離婚に繋がる世の中だ!!」
「好みくらい知っているさ!!君がレモン系の菓子や飲み物を好物としていることなんか知っている!!」
「貴様うるさいな!!食べ物の好みに限らないだろう!!」
「食べ物で例えを出したのは君だろ!!」
肩を震わせ、腹を抱えながら………オーウェンは笑い声を押し殺していた。
………苦しい!
笑い死にしそうだ。腹がねじれる。
いつの間にか話の趣旨が曲がっているし。
………これはまるで…。
「―――夫婦喧嘩ですな」
「……くっ…くくっ…夫婦喧嘩……だよ……………」