亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「「アレクセイ!!」」
「……………はい。何で御座いましょうか」
二人は揃ってアレクセイの方に振り返った。アレクセイの返事には、半分やる気が感じられない。
「この男をどうにかしろ!!私の前では息をしない様にしろ!」
「………それは遠回しに死ねと言ってるのか!?」
再び口論を続ける二人。……誰か止めねば、当分終わりそうにない。
「………………喧嘩する程仲が良いってね。何だかんだ言っても、結局は両想いで………おわああぁ!?」
一人で解釈していたオーウェンに、書物やらペンやら羊皮紙の群れが途切れる事無く投げ付けられる。
真っ赤になった二人はいつの間にか口論を中断し、オーウェンの無駄口を封じていた。
最終的には、ローアンの「糞が!!」という何とも汚い捨て台詞で終止符は打たれた。
ローアンが出て行った後も、アレクセイはそこら中に散乱している書物を黙々と拾っていた。
「……………嵐みたいな奴だな…」
リストは顔をしかめて言った。その横で、ぶちまけられた赤や青のインクを拭き取るオーウェン。
「良いって良いって。それでこそ、あの姉二人の妹だ。長所も短所もそっくりだな~」
「………総団長……大丈夫ですか?」
……精神的に、と付け加えようとしたが止めた。
凄まじい一戦を終えたキーツは、ソファでグッタリとしていた。