亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
階上からゆっくりとキーツが降りて来ると、周りの兵士達は揃って敬礼をした。
後ろからオーウェンとアレクセイ、リストも続く。
ライマン達は唸り声を更に低くし、牙をむき出しにした。
「………出て来いよ。シャイな兄さん」
からかう様な口調だが、そのオーウェンの表情は険しい。
唸るライマン達が急に静かになった。
同時に、辺りの空気が冷え冷えとしたものに変わる。
―――その途端。
音も無くそれは現れた。
ライマンの前に、真っ黒な黒煙に似た靄が立ち込めたかと思うと、人の形をしたシルエットが浮き彫りになった。
現れた人物は注がれる敵意の視線に少しも怯むことも無く、むしろ見下しているかの様な、なんとも冷たい視線を備えていた。
普段開かれることの少ない綺麗な口元が、僅かに緩んだ。
「―――………息災の様だな………諸君」
ゾクリとする笑みを、ベルトークは浮かべた。
後ろからオーウェンとアレクセイ、リストも続く。
ライマン達は唸り声を更に低くし、牙をむき出しにした。
「………出て来いよ。シャイな兄さん」
からかう様な口調だが、そのオーウェンの表情は険しい。
唸るライマン達が急に静かになった。
同時に、辺りの空気が冷え冷えとしたものに変わる。
―――その途端。
音も無くそれは現れた。
ライマンの前に、真っ黒な黒煙に似た靄が立ち込めたかと思うと、人の形をしたシルエットが浮き彫りになった。
現れた人物は注がれる敵意の視線に少しも怯むことも無く、むしろ見下しているかの様な、なんとも冷たい視線を備えていた。
普段開かれることの少ない綺麗な口元が、僅かに緩んだ。
「―――………息災の様だな………諸君」
ゾクリとする笑みを、ベルトークは浮かべた。