亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
衝撃は何処からともなく………ローアンの背中に突っ込んできた。






















「―――…隊ぁぁぃぃ~~~~~長ぉぉぉ―――!!」











―――ドフッ



………悲鳴を上げる暇も無く、ローアンは背中にアタックしたまましがみついてきたそれに押され、前のめりに倒れた。



………色んな視線が注がれる中、倒れた後も、背中にグリグリと頭を押し付けて頬擦りされる。

「初めて!?初めて隊長に不意打ち出来たんじゃない!?いやーんあたしってば成長!!もう隊長~~~会いたかった~~~!!」

「…………離れろイブ」

言うや否や、パッとイブは離れた。ローアンはだるそうに起き上がった。

―――途端、イブはまたもやローアンにひしと抱き付いた。

「……イブ、ふざけるんじゃ……」


………グッと、腰に回された小さな両腕に力が込められた。

………僅かに見えるその表情は、寝床に戻り、安堵する小動物の様で………。

(………)



「―――隊長」

ふと背後から、なんだか懐かしい声が聞こえた。

………“闇溶け”で現れたのは………。



「……………ダリル………マリア……」




相変わらず無表情なダリルと、やっぱり相変わらずニコニコしているマリアが、佇んでいた。






「………どうしてもとしつこく言われてな。………今回は特別だ。早めに終わらせろ」

溜め息混じりにベルトークは言った。






「…………随分と騒がしくなっちまったけど?……良いのかこれ」

ボソボソとキーツに囁くオーウェン。その途端、イブがふとこちらに顔を向け、「良いの!!」と怒鳴った。

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