亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――ドキッ、と……………。
……大きく心臓が鳴った。
………何を言われたのか、一瞬分からなかったが…………分かる前に、身体がカァッと熱くなるのを感じた。
…………好きだと言ってくれた。
………ローアンが…。
………腕の中にいる彼女は、真っ赤な顔で……泣いていた。
小刻みに震えた身体が、その時ばかりは更に小さく、か弱く見えた。
…………胸の高鳴りは、止まらない。
徐々に早く………握った手に力を込めると、絡んだ柔らかな指が、同じ様に握り返してくれた。
………………歓喜に震える。
絡めていた手を解き、ローアンを両腕でひしと抱き締めた。
…………細い、柔らかな身体。
………白い肌、甘い香り。
「―――………キーツが好き………………………………好き…なの」
「……………っ…………ローアン………」
これ以上耐え切れなくなり、彼女の顔を上げさせ、その赤い唇に吸い付いた。
彼女の腰に腕を回し、しっかりと抱き締めたまま、何度も何度も、深いキスを繰り返した。
………止まらない。
………止まることなど、無い。
この、熱は。