亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
一体いつからあるのか。大昔からある神声塔。

最上階と地下へ続く螺旋階段は苔や蔦だらけで、古くボロボロだったが、何の躊躇いも無くその階段に足を掛けた。























瞬きする度に。


一つ呼吸をする度に。





驚く程早く。




時は流れて行く。














戦いの舞台に、ちらほらと松明の赤い光が色付いてきた頃。





丸い火の玉は、森の影に縁取られた歪な地平線へと……ゆっくりと眠りにつこうとしていた。





























徐々に暗くなる。

















闇に消えて行く。



















……………こんな光景……今まで何度あったか。













「―――なあ、オーウェン」

「何だ?」















視界に映るのは、日が沈むのと同時に闇の濃ゆさを増していく沈黙の森と…………その前で静かに佇む、黒い兵士。


言い知れない殺意が、彼等の視線からひしひしと感じる。













「………どうやっても溶けない氷は……………………………砕くしかないのか……?」

「………そうだな。………砕くしかない………と言うより………生温く解かされるより、砕かれることを望むだろ………」

「………………粉砕しか、ないんだな…。………………オーウェン…」

「……ん?」

「……………………………………死ぬなよ」

「………………そりゃあ、無理だ。………………………………俺はいつでも、死ぬ気で生きてんだよ」

「………そうだったな。……………義兄さん」





































…光の根源が、消えた。
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