亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「………気が乗らないんだよ……」

飛んできた数本の矢を闇を纏った“闇入り”の手で消し去り、すぐ側まで迫って来ていたワイオーンの首根っこを掴んで正面の敵兵士に投げつけた。


「………なんかね…………後で殺そうととっておいてあるんだけど…………」

短剣を抜き取り、マリアの背後に迫っていた兵士に素早く飛ばした。
ここで普通なら、急所に刺さるダリルの短剣。

………しかし、それは太股に刺さり、兵士は呻きながらのけ反った。



「……………………………変だね。…………………………殺すのが、馬鹿らしいって思ってきた………」


「…………………………………………隊長が喜びそうね……。………………………それ、私もよ……」

ふふっと微笑を浮かべ、四方から向かって来た兵士に、マリアはパラサイトを一瞬発動させた。

突然地面から生えた赤く太い根。

ブンッ…とそれは弧を描き、敵兵士を薙払った。


「………マリア、“解放”したら駄目だよ………」

ダリルはポツリと言った途端、剣を構えて敵兵士の群れに突っ込んで行った。



残されたマリアはその後ろ姿を見詰め、柔らかな笑みを浮かべる。

………すかさず、突貫してきた兵士を一本背負いで投げ飛ばした。
パラサイトを発動させ、細かい網目状のバリケードを瞬時に作り、矢の雨を防いだ。






「…………あの人と同じ事を言うのね…」






パラサイトを使えと言ってくるのに、彼は………使うな、と昨夜言ってきた。



















『命令』と、貴方の言葉。

……………どちらに従おうかしら、ね。















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