亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………これは…アレスの言葉……神の文字だ。
王族しか読めないといわれている、神の言語。
………神声塔にその石碑があるというのは聞いていたが……こんな最上階ではなく一階にあった筈だ。しかもこれは石碑と言うには薄過ぎる……石盤だ。
度重なる戦火で破損し、人気の無いこの部屋にまで上げられたのだろう。
ランプの明かりに反射する銀の文字。
銀河の様な文字をじっと………見詰めた。
(…………アレスの書だ………誓文が…………書かれている……)
幼い頃に学んだ記憶がある。
神々しい幾つかの誓文。
曖昧な記憶を辿りながら、文字を読んだ。
「……………治める国は…三つ…」
思慮深い人間が国を治め、秩序をはかる。
「魔の者は……その生涯をもって……………仕える……」
王族の人間には必ず一人、腹心と呼べる魔の者がついているという。
しかし………その大事な腹心を………この国は…殺して、殺して、殺し尽くした。
「…………次の善なる王が現れるまで…………」
天災や戦、病が…………………続くであろう。
…………この誓文通りの事が………起こっている。
戦争大国バリアンは、その悪政故に……国家全土の砂漠化に、何代も前から見舞われている。
長い間王のいないデイファレトは、それとは真逆の、炎も凍て付かせる氷の国へと変貌している。
そして我が国は………奇妙な呪いと、戦争が続いている。
世界は……崩壊の一途を辿っている。
誰かが止めねば。