亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
突然、構えていた槍の矛先を外したジスカに、キーツは顔をしかめる。

「…………どういうつもりだ……?」

「………どうもこうも無えよ…………ただ……やる気が無いだけでね。………ここんとこずっと情緒不安定なのよ、これが。………それに………………あんた殺ったところで……………俺には何の得も無い。…………………………………あいつが………泣くだけだ」


それだけは、御免だね。



ジスカはニッと笑い、槍を肩に抱えてキーツに背を向けた。

「………言っとくが、助けてやったりはしねぇよ。あんたが死のうが関係無いね。俺からは、手を出さない。…………………それに………………」

背を向けたまま、ジスカはヒラヒラと手を振った。



「………あんたと本当に殺り合うべき人間は、その辺をウロウロしてるぜ。…………神出鬼没だが……探せば、会えるさ」








…不意に、凄まじい炎が突風に混じり、立ち去るジスカの姿を消した。




舞い散る砂埃と火花が治まる頃には、彼はもう荒野の何処かに行ってしまっていた。




………。


………本当に…よく分からない男だ。




………暗闇から、音も無く敵兵士が切りかかって来たが、見ようともせずに、横に剣を振った。

キーツの剣は吸い込まれる様に兵士の首に向かい、あっという間に刎ねた。


生暖かい血が噴水の如く飛び散り、首の無い胴体が脇に倒れた。

……足元に流れる血溜まりを踏み締め、キーツは激化する荒野の中央へと歩いた。



………あの男がいる。

………そんな気がするのだ。

























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