亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
荒野の、ちょうど中央辺りだろうか。
……血塗れで、切り口に砂利が付着した白と黒の屍が、あちらこちらに転がっていた。
バラバラの手足や頭、爪の破片や砕けた歯。
更に赤みを増した、湿った赤土。
……………思わず目を逸らしたくなる惨状。
いつかの光景と重なる、血腥い地獄絵図。
(……………)
キーツは屍の一つに触れ、死因となった切り口をじっと見詰めた。
戦場を歩いていて視界に入る死体のいくつかに、何処か違和感のあるものがあったのだ。
指先でそっと触れる。
………お世辞にも滑らかとは言えない切断面。
これは剣によるものではない。
………ライマンやワイオーン…?
………それにしては傷が大き過ぎる。
上半身しかない死体。
………切られたのではない。……………食いちぎられた……。
「…………一体何が……」
―――小さな風を感じた。ふと、ルアが顔を上げる。
正面から吹き込んで来る、冷たい風。
………冷たい。
……………………冷たい………………殺気。
それは無意識だった。
研ぎ澄まされた感覚は、どんなに小さな殺気も、視線も逃さない。
反射的に剣を抜き、真正面に向かって剣を垂直に構えた。
―――途端、強烈な突風がキーツにぶつかった。
そのまま流れていく筈の突風は………なんとキーツの構えた剣に阻まれ、ピタリと止まった。
「……………っ………何だ……これは……!」