亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
クライブはダラリと垂れた前髪の隙間から、光の無い虚ろな目でキーツを見詰めていた。
………こちらを射る様な鋭い視線と重なる。
………クライブは口元を緩めた。
…………実に心地良い憎悪を、ヒシヒシと感じる。
醜い感情が、鋭い殺気が。
……クライブはそっと、オルカの背中から地に降り立った。
甲高い呻き声を上げるオルカを宥める様にその身体を優しく撫で、ゆっくりとした動きで………キーツに向かい合った。
………不気味な笑みを浮かべるクライブは、今にも剣を振りかざしそうなキーツを前に剣も抜かず、それどころか、その場で軽く会釈なんぞをしてきた。
………低い、掠れた男の声が、その場に響いた。
「…………………………これは…これは……………………お久しゅう御座います……………………………キーツ、様………」
「―――ふざけるな!!」
キーツは怒りに震える声で叫んだ。
………………六年の歳月を…この日のために……復讐のために………ずっと…待ち続けて。
………あの夜以来………会うのは初めてだ。
それなのに………この男は………。
………ふざけるな。
……ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな………!!
当のクライブは我関せずといった風に、懐かしそうにキーツを眺めていた。
「……………あれから六年………………まだあの頃はこんなに小さかったのに………………………………随分と……大きくなられた………………見違える様だ………」
「………ああ……………変わったよ。……………たくさんな……」