亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……………変わった……?……………目に見えるものだけであって………広い視野で見れば……………なんら変わりないではありませんか………」
青い曇り眼が、純白に輝く城をじっと見据える。
……そう。状況は変わってないのだ。
六年前と変わらない風景が、あそこにある。
消えて無くなる筈のものが、まだ図々しく……神々しい権力を誇示するかの様に輝いている。
「…………………………肝心な事は何一つ………姿を変えない……………………憎悪は消えない…………それに……貴方様は…………まだ、愚かな…子供だ」
脇でルアが低く唸る。
……キーツの視線が、鋭さを増した。
「………………俺は………確かに弱い…。……………あんたからすれば………眼中にも入らないだろうな………。………………だがな………ユリアクロウ…」
クライブの生気の無い瞳が、一瞬だけ揺れた。
キーツは一歩、前に踏み込んだ。
「……………一つだけ………はっきりと変わった事がある………」
「………」
炎を宿した赤と、太陽を閉じ込めた琥珀色。
その色は、鋭さは、幼さは、秘めた意志の強さは。
初めて剣を握らせた頃と、全く同じ。
同じ少年が………ここにいる。
「………六年前のあの夜。………………何も出来なかったガキの俺は…………ただ重い剣を引き摺って………あんたの後ろに立っている事しか出来なかった………。だが今は………………………違う……!」
…………風が吹いた。
…赤い火花が、彼を避けて飛び交った。
「―――………今は俺は………………あんたの前に立っている…!!」