亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


絡み付いた太い根が、凹凸の激しい地面を形成している。
盛り上がった根やぶら下がった蔓に何度も足をとられたり、マントに引っ掛かったりと、一定のペースでなかなか前へ進めない。

…焦燥感が沸き起こる。
走っている内にフードは外れ、結っていた髪がだんだんと解けてきていた。
………垂れた長い髪の先に、ぶら下がった蔓が引っ掛かる。

(―――………くそっ…!)

素早く剣で蔓を切り、再び走り出す。


…………距離はそんなに遠くないのに…………!
………これでは……間に合わないのでは……。



大きな根を越え、自らの重みに耐え切れず垂れ下がった太い枝の上に跳び移った。



………が、その瞬間、ローアンの身体がバランスを崩した。
枝は腐っていたらしい。
バキッ…と鈍い音がした途端、枝は幹の部分から折れた。


………地面からさほど距離は無いが、下は岩場だった。
ひび割れて先の尖った石がたくさんある。

「………っ…!?」

まずい、と木の幹に手を伸ばしたが、薄情にも幹の表面はじっとりと濡れていて、伸ばした手は滑り落ちた。



………ローアンは受け身を取ろうと身体を捻ろうとした。




岩場に落ちる。






……筈だったローアンの身体は、岩場に落ちるどころかそのままその上を越えて、物凄い速さで前へ進み出した。





唖然とするローアン。

………いつの間にか、自分が跨がっているのは……。















「―――………トゥラ…!?」







一体今まで何処にいたのか。なんだか懐かしく思えて仕方が無い漆黒の相棒が、ローアンを背中に乗せて疾走していた。


< 941 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop