亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………以前の襲撃もそうだった。
突然この第三者の乱入により、決着は付かず、両者共退くことになったのだ。
まるで、狙っているかの様に。
………両勢力が戦い、交差しているところをそのまま…まとめて潰そうとするかの様に。
(……………まるで………じゃない。………………………そのつもりなのか………!)
そうとしか考えられない。
でなければこんな………。
…………続々と影が湧いて来る筈が無いではないか。
ダリルの周りに、真っ黒な影が一つ二つ……三つ四つ………いや………どんどん増えていく。
温存していた力を発揮させるかの様に………有り得ない数の影が、地面からズルリと湧いてきた。
しかも………。
……………すぐ脇に転がっていた敵兵士の屍が、音も無く……真っ黒に溶けだした。
………あの兵士は絶命してから……一時間と経っていない。
影になるのには……速すぎる。
至る所で、屍が真っ黒に変色していった。
全身燃えているライマンの死体も、四肢がバラバラになっているワイオーンも、首の無い敵味方の兵士も…………………皆………………………。
「―――………最悪」
最悪だ。
また………敵が増えていく。
しかも思慮分別の無い、全てを食い荒らす化け物だ。
なんて厄介なのだろう。
影は………この日を狙っていた?
意外と計算高い奴等だ。
ダリルは警戒しながらグルリと見渡す。
………明るい火の粉にも全く動揺していない。
火や光に耐性が付いたのか。やりにくいったらありゃしない。
それに加え…………………再生能力ときた。