亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
リストは素早く強烈な蹴りを放つ。
屈んでいたイブにその蹴りがめり込んだかと思うと、ニヤリとほくそ笑むイブの姿が細かな赤い葉の塊と化し、サァッと風に流れた。
群れを成して吹き飛ぶ葉は、少し離れた場所に集まっていく。
バラバラだったピースが合わさり、イブの姿が再び現れた。
「………」
「…ハーフのあんたにはここまで出来ないかぁ………便利でしょ―、これ?」
高音と低音が混じり合った声でクスクスと笑う。
四つん這いの体勢でジリジリと間合いを詰めながら、両者共片手の爪を伸ばした。
近付いて来た影を、見ようともせずに一撃で仕留める。
「………あんた……フェーラ嫌いなのによくその姿になれるね?……………あんたをそんな風にした化け物が………憎くて仕方無いんでしょ?………どう改心したんだか知らないけど……………………………もう甘ちゃんじゃないんだねぇ―…」
獲物を見る様な目でリストを睨みながらも、赤い目を細めて笑った。
「―――………あの人が……あの二人が………………教えてくれたから……」
あの二人。
「……………あの御二人が………僕を……変えてくれた。………僕について来いと言ってくれた。………真剣に向き合ってくれた……………それだけだ……僕は………」
三つの目が、イブをはっきりと映した。
何かを悟った様な、決意した様な、真っ赤な瞳。
「…………僕は……人間が良い………フェーラは………嫌いだ。大嫌いだ。………………でも……………………………………もう………………憎くは…ない……」
………そっか。