亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………お前…」
リストが口を開くと、イブは両手を腰に添えてニッと笑った。
赤い砂埃が、二人の間に吹き込んだ。
「………甘ちゃんのあんた…見てて苛々するくらい嫌いだったけど。…………今は、良いね。あたし、割りと好きよ、あんたのこと」
「………はぁ?」
今まで殺し合いをしていた相手とは思えない。
笑顔を向ける目の前の少女は、フェーラという醜い獣の姿だが。
………自分を理解してくれた、互いに理解し合えた……。
……………何処か似ている者同士。
―――……バキバキ…バキ…
何か…軋む様な音が、何処からか足元の地面に響き渡ってきた。
同時に、細かな亀裂が赤土の表面に走る。
………。
イブとリストは互いに顔を見やり、爪を引っ込めた。
………次の瞬間。
―――地面が、割れた。
「―――うっ、わぁっ!?」
「………!!」
厚い地層が何枚も剥がれ、横の縞模様がむき出しになった。
割れた地面は激しい凹凸の大地へと変貌する。
イブとリストは吹き飛ばされたが、宙で身を捻り、そのまま離れた場所で着地した。
ただでさえ砂埃が舞って空気が悪いのに、更にその一帯の空気が澱んだ。
………元凶は……荒野の中央辺りで繰り広げられている二人の戦闘。
二次被害など考えない、傍迷惑な乱行振りである。
大量の砂が口に入り、ペッペッと吐き捨てるイブ。
「………ちょぉっと―…何よあれ!………加減ってものを知らない訳?あんたの上司は!!」
「お前の上司にも言えるだろうが!!」