亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
行く手を阻まれた状態。
盾を受け止めることはまず不可能。
………口を開けた影を斬り進みながら、転がり込むしかない。

タイミングをみて構えたその時。


























「―――お兄さん達、何処見てんのさ。こっちだよ」

「―――影ども、うっざぁー!!」


声変わりしていない少年と幼い少女の声が聞こえたかと思えば、周囲を囲んでいた影の群れが急に切り刻まれ、何処からか湧いた冷たい黒煙が二人を飲み込んだ。


………真っ暗な視界から急に、荒野の風景へと戻った。……怪物からだいぶ離れた所に、二人は無造作に放り出されていた。


………一瞬、何が起こったのか分からずにいる二人。

「………お兄さんとお爺さんは“闇入り”は初めてなの?………闇に引き摺り込んだだけだよ。安心しなって」

すぐ脇に、こちらを覗き込む少年が一人。見た所、アレスの使者の者だ。



……まさか………助けてくれたのか?



少年の隣りに、小さな人影が現れた。


………その姿は……人間ではなく…フェーラだ。

「やっだ―ダリル。あんた生きてたの―?全然見ないからもう死んでるのかと思ってた―」

「………無駄に動きたくないからね。………イブ、お前…確か後ろパッツンと戦ってなかったっけ?」

「ん?やる気無くした―」

傍らでお喋りを続ける少年少女。敵であるにも関わらず何故助けたのか。
キーツ達に対する敵意は全くと言っていい程、無い。



………見覚えがある。…確かこの二人、第4部隊の隊員では…?


「―――総団長!!」

“闇入り”をされて何だか異様に冷えてしまった身体を起こすと、剣を握ったリストが何処からともなく現れた。
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