亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


オーウェンは黙って、血塗れの廊下を進んで行った。
背後の開け放たれた扉の外から、地面を砕く大音量が絶え間なく響いていた。





















口を開けて迫って来た影に、一閃を浴びせた。
同時に身を捻り、叩き付けられる斧を避け続ける。




先程からこのワンパターンだが、流れを変えようにも変えられない。

影はいくら斬ってもすぐに再生するし、イヨルゴスという怪物に至っては、この重過ぎる攻撃を避けるだけで精一杯だ。

なんとかならないものだろうか。



「………アレクセイ……古文書に弱点とか何か書いてなかったのか?」

「………書いてあればもう申しております。……あれですな。もう力で捩じ伏せるしかありませんでしょう」

「………最初から大差ある力で…どうやって、だ……」

「キーツ様、分かっておりませんなぁ…。……………真正面からぶつかるから勝てないのです。………貧弱な人間は、ちまちまと攻めるしかないのですよ………っと……」


すぐ隣りの地中にめり込んだ斧に向かって、アレクセイは鋭い一閃を放った。

最初から刃こぼれしていた斧の先に、大きな亀裂が走った。
斧の切れ味を徐々に落としていく。

「あいての極端に遅い動きを利用するのです。キーツ様しか狙っていない点も考慮していきましょう」

「………俺は囮か…」

二人でそんな事を言っていると、上空から鳥型の影が群れをなして降りて来た。

一気に横に裂けた口が、二人目掛けて襲って来る。

同時に、怪物がもう一方の手で握っている盾が振り翳されるのが目に入った。

………鈍器と化した盾が、風を押して降りて来る。

「…………っ…!」


影が左右に、背後に回って来た。
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