亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
飛ばされる瞬間、オーウェンの足に一閃を浴びせたが、それでも勢いを削ぐことは出来ず、ベルトークは背後の柱に思い切り叩き付けられた。


「―――っく……!!」

全身に走る衝撃と、息の詰まる圧迫感。
本の一瞬だけ意識が飛び、視界が真っ白に変わった。

柱を背にズルズルと体勢が崩れる。

…クラクラする頭を手で押さえ、まだあまり焦点が定まっていない目を開けると……。


………グンッと迫ってくる、鈍い光沢を放つ刃が視界に入った。





――咄嗟に、首を捻った。

オーウェンの槍は右の頬を掠め、柱に深々と刺さった。
オーウェンは腰の剣を抜き取り、ベルトークの首目掛けて横一文字に切り付けた。


首を刎ねた、と思ったが、剣が肌に触れる寸前に、ベルトークの身体が冷たい闇と化して消え失せた。


軽く舌打ちをし、斬られて血が流れる足を押さえた。



………広間の隅の方に黒煙が立ち上ぼり、地に膝を突いて胸を押さえるベルトークの姿が現れた。



「………っ……………かはっ………」


先程の衝撃が余程きつかったのか、ベルトークは苦しそうに咳き込んだ。


「………何だ………………あんたも辛そうな顔するんだな……………同じ人間かよ………」

ニヤリと笑うオーウェンを、ベルトークは口元を拭って睨み付けた。

「……………けほっ………………このっ…………馬鹿力め………」

「…………恨みつらみを有りっ丈込めてぶん投げたからな………………手応え大有りだ……」

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