亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
アレスの使者の弱点は、“闇溶け”を不可能にする光。
そして、防御力の低さ。
普段彼らは“闇溶け”で姿を消し、攻撃を全く受けずに動く。
そのため、ぶつかりあう普通の戦闘にあまり免疫が無い。自然と防御力が低くなる。
ベルトークに至っては、その神速で攻撃など受けたことが殆ど無いだろう。
それ故に、攻撃力の卓越したオーウェンの一撃は、ベルトークの許容出来る範囲を越える。
(………一度捕まえちまえば…………こっちのもの………………………なんだが…な………)
………二度目の不意打ちはそう簡単にいくまい。
正面で再び剣を構え始めたベルトークの目は…………今まで以上に冷めている。
頬から流れる一筋の赤い血が、彼の冷酷さを更に助長している様に見える。
………冷たい。
………あれは……………本気の目だ。
…………逆鱗に触れてしまったか?
オーウェンは苦笑を浮かべた。
………右足の斬られた傷が疼く。
溢れる血が白い隊服にジワジワと染み込み、押さえる手の平をも赤く染めていく。
…………何となく、わかっている。
………俺は……多分。
…………俺は……………………負けるだろう。
……………分かっているんだ。
……………俺は…
………………こいつより下だってことを。