亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
来るか………?
短剣を何度か握り直し、接近に備えた。
影はじっとローアンを凝視したまま、ブルッと身体を震わせた。
粘着質でドロドロした真っ黒な身体が………だんだんと細く、小さくなっていく。
………また形状の違う影が出て来たのか?
獣型や鳥型。様々な形の影が出没している。
今度は……どうなるやら。
構えたままじっと警戒している中、影の輪郭は変貌する。
その変わりゆく姿を見詰めていたローアンのは…………徐々に、驚愕の表情を浮かべていった。
……………何?
…………あれは?
丸みを帯びた身体はすっかり細くなり、小さくなった。
………黒い色から……………肌色へ。
そう。
視線の先には………………………人間がいた。
細身の、ローアンよりも背丈の低い小柄な少女。
緑のドレスに身を包み、俯いた少女。
ローアンは絶句した。
何で……?
…………こんな………。
こんな事って………。
こんな………。
―――残酷、過ぎる。
ローアンは目を見開き、震える唇で…………………呟いた。