亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
イヨルゴスは盾を落とし、苦しげに呻いていた。
落ちた盾が、地面に深々とめり込む。
怪物の青白い肌からは、黒い蒸気が上がっていた。
その遥か下方で、イブがガッツポーズをとる。
「いよっしゃぁ―!なんかよく分かんないけど、お兄さんの石投げたら大ダメージ!………あたしが投げたの、何の石なの?」
地を叩く怪物の手の平を避けながら、イブが戻って来た。
「ナイスですぞ、お嬢さん。今投げられたのは空の魔石というものでして。ああいう古代の怪物にはもってこいのアイテムですな。………これで少しは力を削ぐ事が出来たと思うのですが……」
アレクセイは手元にある空の魔石を一瞥する。
要らない、と言われて突き返されたオーウェンのと、リストの。
今キーツの所持していた石を投げたので、残りはこの二つ。
「…………三つ使ったらどうなるんだ?…………魔力を封印して……体力削って……………結構威力は強力なんだろう?」
怪物の動きを見ながら、側でキーツは刃こぼれした剣を構える。
キーツのその疑問に、ダリルは顔をしかめた。
「…………冗談じゃないよ。一個でもきついのに………三つ……?地獄だね。苛めだよ。リンチに等しいよ……体験した側から言うけどね…」
あれは………辛かった、と過去を振り返るダリル。
アレクセイは聞きながら頷いた。
「………見たところ…魔力は削れていない様ですな。タイミングを見計らって二つ目にいきますか」
「……鬼」
ダリルの呟きをこの笑顔の老紳士は流した。
「でも………注意してよ。………魔力も体力も吸い取るその石は………使い様によっては危ない石だから」
「と……言いますと?」