亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
愛する子を奪われた故の、激しい憎悪。
憎悪。
それを抱いて来た結果が…………これ?
醜い戦争?
私はただ………戦争という、人の造り出した最も愚かな産物に荷担して………名前も知らない他人を、ろくに顔も見ないで…………斬ってきただけだ。
………歩く道の礎にしてきただけだ。
ただただ。
それだけ。
……………抱いていた筈の憎悪に………いつの間にか………支配されていたのかもしれない。
………私の腕を擦り抜けて。
何時からか。
「…………或いは………最初から…………かしら………」
…………いや。
最初からじゃない。
最初。
一番最初。
私は、最初………………………憎悪よりも…。
………生きる事に、しがみついた。
生に、しがみついた。
だって………死にたくなかったから。
死にたくなかったから。
愛する子を守れなかったことを悔いて、憎んで。
相手を憎んだんじゃないの。
無力な自分が、憎かったの。
そんな自分でも、生きていたかったの。
死が怖かったの。
純粋に、生きていた人間として…………………生に手を伸ばしたの。
そんな愚かな私の手を、彼女は。