亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
彼女は。
あの子は。
風に乗って、大地から削り取られた粉塵が霧の如く空気に舞う。
………砂利の混じった冷たい風が頬を霞め……………感覚が殆ど無い足を撫でていった。
………ゴツゴツとしていて乾いた足をぼんやりと見下ろすと、発動もしていないのにギョロギョロと動く、パラサイトの赤い種があった。
目玉に似たそれと、目が合った様な気がした。
…………もう、限界なのかしら。
………私の手には負えないのかしら。
また、激しい地響きが襲って来た。
丘の一部が砕かれたのか、到底破片とは言えない大きな岩が上空から荒野一面に降り注いだ。
一メートル大の尖った岩が地を跳ねて、勢いをそのままにマリアの方へ転がって来る。
依然として暴れ回る怪物の方を見たまま、岩に見向きもしないマリア。すぐ正面にまで迫った途端、大木の様な太い枝がいとも容易く跳ね返した。
(…………)
いつもならここで役目を終えて引っ込んでいく枝が………中々戻ってくれない。
……………もう、この枝の親ではないのかな。
…………いや……。
…………守られてきた私が………この枝の子供だったのかな。
「……………隊長…………………………………お城にいるの?」
騒音の中、マリアは呟いた。
隊長は………死なないで。
だって隊長が私に………………生きろって言ったのよ?
どんな形でもいいからって……。
生き抜けって。