亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

だから………隊長は死んだら駄目よ。







………フラリと、マリアは狂い続ける怪物の方へと歩いた。

………右足から伸びる枝が、グネグネと枝分かれしながら地を這う。
近寄って来る影を貫き、生命力を吸っていく。




マリアが通った道だけ、ミイラの様に干からびた影の末路が散らばっていく。




「――総団長!!そちらは地割れで足場が悪いです!……こちらに!」

キーツばかりを狙うイヨルゴス。

目茶苦茶に振り回す剣と拳と、地を踏む蹄。不規則な動きに、キーツは避けるだけで精一杯だった。

そんなキーツを出来るだけ安全な場所へ移動させるべく、リストは誘導していた。

「………動きが速い………でも鋼の身体ではなくなった様だな………………出血も多いから…上手くいけば…………………」



背中に視線を感じたリストは、短剣を構えて振り返った。


………途端、リストは眉をひそめた。






真後ろに、武器も持たずぼんやりとこちらを見てくるマリアがいたからだ。


しかも…。


「…………パラサイ…ト……?」

右足から、細い枝が伸びたり縮んだりと忙しなく動いている。



………以前の襲撃で塔や屋敷を目茶苦茶にしたパラサイト。

それが今……ここにいる。

………マリアは何も言わずに、再び前へ歩み出した。



リストの横を、ゆっくりと通り過ぎて行く。

「………お…おい…」

声を掛けた途端、マリアの正面にイブとダリルが何処からともなく現れた。

「……マリア!!………匂いはしてたけど、何処にいるのか分からなかったよ―!………怪我無い?」

「……………大丈夫?……………………………………マリア?」




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