亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
その中には、私が笑っているものばかりじゃなくて。
悲しい事や辛い事もあるの。
少ないけれど、たくさん、たくさん詰まってるの。
私を生んでくれてありがとう。
私を慕ってくれてありがとう。
………もう会えないだろうけど。
こんな私を、愛してくれて………ありがとう。
ありがとう。
最後に、さようなら。
パラサイトの赤い瞳に、そっと手を掛けた。
怪物の呻き声や、悲鳴や………とっても怖い音が聞こえるけど。
その中に、聞こえるの。
風の音や、葉が擦れ合う音。飛び立つ鳥の羽音や、鳴き声。
こんな中でも、優しい音はあるの。
見つけにくいけどあるの。
………幸せみたいに。
「―――…………………………………………………………私ね……………………………………今……幸せよ……………」
マリアは………瞼を閉じた。目頭が熱い。
生温い涙が、頬を伝った。
花の香りがする。
昔よく摘んでいた、あの花の。
「―――…“解放”」