亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


















大地が、長い眠りから醒めたかの様に。












震えた。














上下に。






左右に。




























荒野全体を囲む様に、巨大な……赤い枝が…………平らな地面を地中からひっくり返していく。














分厚い土の塊を押し退け、地を這い、大地に浸食していく。













低い唸り声の様な凄まじい響音は、大地の悲鳴か。

赤い枝の咆哮か。













直径10メートルはある、もはや枝とは言えない真っ赤な枝は、地表で蠢く影の塊を次々と払い除けていく。

岩壁に叩き付けられた影達には、命を吸い取る細い枝が何本も、何十本も突き刺さり、本の一瞬で干からびた姿へと変えていく。











荒野中央あたり。

元となる種がある辺りから、見る見る内に太い樹木が生えだした。
瘤のある根を張り、地中で枝分かれしていく。

赤いそれはまるで、大地の複雑な血管の様に見えた。



すぐ傍らで暴れるイヨルゴスの巨体をあっという間に追い越し、天に向かって高々と伸びていく。
同時に、最初は滑らかな表面だった幹が、徐々に太く、ゴツゴツとした岩肌へと変貌していった。







とにかく斧を振り回し、邪魔だと言わんばかりに突然現れた大樹の幹に向かって、イヨルゴスは奇声を発しながら斧を振り翳した。

………その背後の地面から、太い枝が何本も生え、怪物の強靱な腕に絡み付いた。


怪物は枝を振り払おうとするが、枝は固く絡み付き、しかもその数は増えていく。




怪物は胴体の口を開いた。
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