今夜、俺のトナリで眠りなよ
『大丈夫。あと3時間くらい歩けば、帰れるし』

「犯すぞ」

『何、言ってるのよ』

 電話の向こうで、疲れ切った桜子の声でクスクスと笑っているのが聞こえる。

「マジで言ってんだよ。場所を言わねえなら、家に帰ってきたら、無茶苦茶に抱いてやる」

『一樹君はそんなことしない』

「心配なんだ。早く場所を言え。頼むから、俺を苛つかせるな」

『もう充分、苛々してるじゃない』

「これ以上、っていう意味だよ」

 やっと桜子から、場所を聞きだし、俺は車のキーを掴んで車に飛び乗った。

 たく。心配かけさせやがって。

 一人で暴走する前に、俺に一声をかけろよな。

 こんな思いをするなら、今度からストーカーするからな。ちくしょ。

        一樹side 終わり
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