今夜、俺のトナリで眠りなよ
 少しでも良い。家に帰って来ようって思えるような家作りをしようって思っているのに。

 私が肩をがくっと落としていると、『ピンポーン』と呼び鈴が鳴った。

「誰かしら?」なんて呟きながら、私はインターフォンのボタンを押した。

「はい?」

「一樹だけど」

 玄関にある防犯カメラに、一樹君の姿が映っている。

「え? 一樹君?」

「だからそうだって言ってるじゃん。開けてよ」

「あ、はい」

 どうして我が家に来たのだろう?

 優樹さんと結婚して以来、一樹さんと会うのはパーティのときだけなのに。

 ばさっと優樹さんが新聞を閉じると、「どうして一樹が?」と私に質問してきた。

「わかりません。優樹さんとお約束していたのでは?」

「僕が一樹と約束なんてしない。君こそ、一樹と会う約束していたんじゃないのか?」

「い、いえ。そんな仲じゃありません」

 私は首を横に振った。

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