今夜、俺のトナリで眠りなよ
「一樹君は?」

「は?」

「一樹君はどんな家なら帰ってきたいって思う?」

 一樹君がフッと口を緩めると、困った顔をした。

「俺は……。そうだな。やっぱ俺も、色気のある下着かな」

 私は一樹君の脛をゲシっと蹴ると、「スケベ」と言い放った。

 くくくっ、一樹君が失笑すると綺麗になった食器を目の前に手を合わせて「ごちそうさま」と呟いた。

「ケーキは」

「食べる」

「すごい食欲だね」

「だから、飲み屋であんま食えなかったって言ってるだろ」

 一樹君は、六等分したロールケーキの一切れをペロリと食べた。

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