今夜、俺のトナリで眠りなよ
「わからないじゃない。美味しい料理が待っている家なら、帰ってきたいって思うかも」

「俺は無駄な努力だと思うけど」

「どうしてそう思うの?」

 私なりに考えて、行動しているのに。

「前にも言ったけど、兄貴があんたに求めているのは家庭の温かさじゃないから」

「早く子供を産めってこと?」

「そ。でも処女じゃあ、無理だな」

 一樹君がくすっと笑うと、ご飯を口の中に入れた。

「うるさい!」

「あはは。怒るなよ。兄貴を家に帰って来させたいなら、色気のある下着を身につけて、胸元のあいた服でも着れば、一発だろ」

 私は下を向くと、首を左右に振った。

「私、そういうのは……」

「苦手なんだろ? わかってるさ。でも兄貴は違う」
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