今夜、俺のトナリで眠りなよ
―一樹side―
 深夜3時、パッと玄関のサーチライトがついた。

「おかえり」と俺が玄関で仁王立ちして、口を開く。

 兄貴がびくっと肩を震わせると、俺を見て目を見開いた。

「ずっとここに立ってたの?」

「ああ。深夜1時からずっと」

「僕が帰って来ないかもしれないとは思わなかったの?」

「着替えに戻るだろ」

「暇人だね」

「言いたいことがあったから」

 兄貴は靴を脱ぐと、家にあがった。

「良い夫ヅラを気取っておいて、肝心なところで逃げてんじゃねえよ」

「何のことかな?」
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