今夜、俺のトナリで眠りなよ
 やっと私を見てくれる気になった……って。

 じゃあ、どうして?

 どうして、今の私は嬉しくないの?

「少し考えさせて。まだ早い気がするの」

「わかった。僕も無理強いする気はないから」

 優樹さんは、スリッパを鳴らしながら居間を出て行った。

 二階にあがっていくのが聞こえる。バタンとドアが閉まると、優樹さんの気配が消えた。

 怒らせてしまったかもしれない。

 せっかくの誘いを、私が断ってしまったから。

 でも、まだ同じ寝室で寝起きを共にする気はないの。

 ううん、違う。そうじゃない。

 結婚したばかりの頃は、違ったわ。

 最初から寝室を共にする気でいたはず。同じベッドで寝て、同じ食卓を囲んで。

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