今夜、俺のトナリで眠りなよ
 着替え中だったけど、渡せたって言えばいいはずなのに。

 すごく気まずい。

「ねえ、桜子」

 新聞を折りたたんで、立ち上がった優樹さんに私は「なに?」と素早く返事した。

「僕たち、そろそろ寝室を一緒にしようか」

「え? ど、どうしたの。突然……」

「突然でもないんだけどな。結婚してもう3ヶ月過ぎるし、そろそろ考えても良い頃じゃない?」

「そうかな……」

 私は、洗い物の手を止めると、泡のついている手を見つめた。

 優樹さんに愛人いるって知らなかったら、今の誘いには喜んで応じてたと思う。

「子どもを作ることも考えないと」

 ううん。愛人がいたと知っていても、喜んでかもしれない。
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