今夜、俺のトナリで眠りなよ
「行けなくはないけど……。でも少し遠いし」

「片道1時間くらいの距離。どうってことないだろ。お前は主婦なんだぞ。わかってるのか?」

「優樹さんだって、ゆっくりしておいてでって言ってくれたから」

「優樹君は優しいから、そう言っただけだ。普通の主婦なら、旦那の夕飯や仕事を考えて、一人で実家に泊ったりはしない。それなのにお前ときたら……」

 私は下を向く。

 お父さんの言葉で一気に食欲が減退した。

 主婦は、実家に帰っちゃ駄目なの? ゆっくりしちゃいけないの?

 一日くらいいいじゃない。

 優樹さんは私の作った夕食なんか食べないわ。

 お父さんは知らないから、言いたい放題言えるけど。

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