今夜、俺のトナリで眠りなよ
「何でもない」

 私は首を横に振ると、紅茶をぐいっと喉に流した。

「お母さんは、お父さんとお見合いだったんだよね」

「そうよ」

「幸せ?」

「ええ。幸せよ。桜子も幸せでしょ?」

「あ、うん」

 私は頷くと、お母さんに気付かれないようにため息をついた。

 お母さんは、私と同じお見合いで結婚して、子どもにも恵まれて、幸せだと言う。

 私は……。優樹さんが夫で、幸せとは言えない。

 一樹君が傍にいてくれるから、幸せだけど。もし一樹君があの家を出て行ってしまったら……。

 私の結婚生活は、幸せにはならない。
















「別に、わざわざ実家に戻らなくても、同窓会に行けただろ」

 仕事から帰ってきたお父さんが、ビールを飲みながら私に口を開いた。

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