ヘタレ王子とヤンキー姫
そこは寂れた公園だった。

豊の腕に抱かれて微笑んでいるのは、樺音ではなく由衣だった。

「じゃぁ呼ぶか?」

その一言に、ギャラリーから歓声が上がる。

















着信画面に表示された名前は、恋人のものだった。

「どうした?」

「俺、戦争してくる。ダチがラチられたんだ。相手は30人くらいらしい。」

「戦争って…一人でかよ。」

「お前といれて幸せだったよ。俺にもしもの事があったら、お前はちゃんと幸せになれ。」

電話の向こうでは、数人の怒鳴り合う声が聞こえていた。

そこは、やけに静かだった。

車のおとが全く聞こえてこない。

この近くで戦争ができる場所は、限られていた。

それに静かな場所は一ヶ所しかない。

樺音はきびすを返して、走り出した。
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